国家はなぜ衰退するのか



イギリスで産業革命が起きた理由
包括的な制度:

イギリスは比較的早期に包括的な政治・経済制度を発展させました。

これにより、イノベーションと創造的破壊が促進されました。

植民地の影響:

1763年のパリ条約により、イギリスはアメリカやインドでの優位を確立しました。

広大な植民地からの資源と市場が産業革命を支えました。

資本蓄積:大西洋三角貿易による国内の資本蓄積が進みました。

第2次囲い込みにより農村から労働力が流入しました。

各国の違い
フランス:

イギリスと条件は似ていましたが、植民地の広がりで劣っていました。

政治制度の違いも発展の速度に影響しました。

日本:

後発の利点を活かし、明治維新後に急速な産業化を達成。出発点の絶対水準は西欧諸国より低かったが、高い成長率を実現

権力の分散と抑制:
1つの藩が圧倒的な力を持つのではなく、複数の藩が協力して改革を進めたことで、権力の過度な集中が避けられました。これにより、独裁的な政治体制の形成を防ぎ、より柔軟で適応力のある政府の構築につながりました。

軍事力の分散と統合:
廃藩置県により、各藩の軍事力が新政府に統合されましたこれにより、強力な中央集権国家の基盤が築かれ、近代化に必要な統一的な政策の実行が可能となりました。

明治維新が各藩の力関係で1強ではなかったことが、日本の近代化と発展に大きく寄与したのです

南米:

収奪的な制度が長く続き、包括的な制度への移行が遅れました。

資源依存型の経済構造が持続的成長を阻害しました。

収奪できる文明、資源、銀、金等が豊富にあったので収奪経済が継続

北米(アメリカ):

比較的早期に包括的な制度を採用しました

収奪できる文明、資源がなかった(食料のみ)そのため移民が自分たちで労働するしかなかった

重化学工業を中心とした第2次産業革命から本格的に参入し、急速に成長しました。

収奪的な経済・政治と成長の関係
短期的成長の可能性:

収奪的な制度下でも、一時的な経済成長は可能です。

例えば、資源の集中的な開発や強制労働による生産増加などが挙げられます。

長期的な持続不可能性:

イノベーションや創造的破壊が抑制されるため、長期的な成長は困難です。

エリート層が既得権益を守るため、経済の近代化や効率化が阻害されます。

制度の漂流:

クリティカルジャンクション(重要な歴史的転換点)により、似た条件の国でも制度が大きく異なる方向に進化することがあります。

これが長期的な経済パフォーマンスの差につながります。

収奪的な政治制度が革命で覆されても、多角的な層からの改革がない限り、支配層が入れ替わるだけで収奪的な政治経済が続き、持続的な成長が起こらない理由は以下の通りです:

力の集中:
革命後も新たな支配層が権力を独占し、包括的な制度への移行を妨げます。これにより、一部のエリートが経済的利益を独占し続けます。

制度の継続性:
収奪的な制度は自己強化的な性質を持ち、新しい支配層もその恩恵を受けるため、制度変革への意欲が低下します。

イノベーションの抑制:
収奪的な経済制度下では、新しいアイデアや技術の導入が制限され、経済成長の原動力となるイノベーションが抑制されます。

財産権の不安定性:
革命後も財産権が十分に保護されないため、長期的な投資や経済活動が阻害されます。

教育と人的資本の軽視:
収奪的な制度は広範な教育投資を軽視し、人的資本の蓄積が進まず、経済成長の潜在力が制限されます。

腐敗の継続:
新しい支配層も既得権益を守るために腐敗した慣行を継続し、効率的な資源配分が妨げられます。

経済的機会の不平等:
一部のエリートのみが経済的機会を独占し続けるため、社会全体の経済的潜在力が活かされません。

これらの要因により、単なる支配層の入れ替えだけでは持続的な経済成長は困難となります。真の変革には、包括的な政治・経済制度の構築が不可欠です。

『なぜ国家は衰退するのか』の核心
包括的制度の重要性:

経済的・政治的に包括的な制度が、持続可能な成長と繁栄をもたらします。

これらの制度は、イノベーションを促進し、創造的破壊を可能にします。

収奪的制度の問題点:

エリート層の利益を守るための収奪的制度は、長期的な発展を阻害します。

一時的な成長は可能でも、持続可能な発展には不適切です。

制度変革の難しさ:

収奪的制度から包括的制度への移行は容易ではありません。

エリート層の抵抗や歴史的経路依存性が障害となります。

歴史の重要性:

現在の国家の繁栄や衰退は、長い歴史的プロセスの結果です。

クリティカルジャンクションが国家の発展経路を大きく左右します。

この本は、単純な地理的要因や文化的要因ではなく、制度の質が国家の成功と失敗を決定づける主要因であると主張しています。持続可能な経済成長と繁栄には、包括的な政治・経済制度の構築が不可欠であることを強調しています。

 
包括的な政治・経済制度とは、広く国民に機会を提供し、イノベーションと創造的破壊を促進する制度のことを指します。これは『なぜ国家は破綻するのか』の著者たちが提唱する概念で、国家の長期的な繁栄に不可欠とされています

収奪的な経済・政治と成長の関係:

短期的には成長可能:資源の集中的開発や強制労働による生産増加。

長期的には持続不可能:イノベーションや創造的破壊が抑制され、経済の近代化が阻害される。

エリート層の既得権益保護が経済発展を妨げる。

『なぜ国家は破綻するのか』の要約:

包括的制度の重要性:経済的・政治的に包括的な制度が持続可能な成長と繁栄をもたらす。

収奪的制度の問題点:エリート層の利益を守る制度は長期的発展を阻害。

制度変革の難しさ:収奪的制度から包括的制度への移行は容易ではない。

歴史の重要性:現在の国家の状況は長い歴史的プロセスの結果。

この本は、単純な地理的要因や文化的要因ではなく、制度の質が国家の成功と失敗を決定づける主要因であると主張しています。持続可能な経済成長と繁栄には、包括的な政治・経済制度の構築が不可欠であることを強調しています

 

これを今の日本に当てはめてみると持続可能な経済成長と繁栄に必要な条件である包括的な政治が行われているのか。

 
日本は当然独裁国家ではない、収奪は目立たないようになってはいるが、特定政党と一部エリート層(グローバル大企業)、そして一部官僚による収奪的な政治が行われているように思える
 
この現状をもし別の政党が覆したとしても、権力と収奪の元が別の政党に変わるだけで大きな変化は起きない。単なる支配層の入れ替えだけでは持続的な経済成長は困難。多様な多角的な集団が取って代わって持続可能な経済成長と繁栄をめざすことができるのか。政治、税制を含めたインセンティブの根本的な修正が必要な時にきているのではないか。

 
それからこの本によれば中国の成長は終わる。必然でしょう
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